金 明洙・于 臣 編著

定価:3,190円(本体2,900円+税)

2023年9月発売

A5判・並製・290ページ
ISBN978-4-909942-32-6 C3034

 19 世紀から20 世紀にかけて、非欧米社会で驚異的な経済発展を遂げ、国際社会に多大な影響を及ぼした日本・中国・韓国の企業家に焦点を当てる。第一部では日本・中国・韓国の東アジア三国の間で行われたいわゆる「交渉」に対する研究が行われ、第二部では東アジア三国の各国を対象とした個別企業家の事例研究を通じて経営活動と経営理念・企業家精神を検討し、第三部では日本とイギリス、日本とアメリカの企業家精神を比較分析した。本書では、これまで一国史の枠の中で分散的に行われてきた東アジア三国の企業家研究とは異なる比較研究の手法を用いた共同研究を通じて、経済成長のキーパーソンとして企業家に対するより普遍的な認識が提示されたと考えられる。
執筆者:木村昌人、于 臣、金 明洙、横山俊一郎、戴 秋娟、李 正熙、ジャネット・ハンター、ジョン・セイガーズ

目次
第一部
第一章 商業会議所(商務商会)と日中韓実業界――文化交渉の視点から―― [木村昌人]
第二章 近代中国における「実業」と「実業家」――張謇(一八五三~一九二六)と穆藕初(一八七六~一九四三)の事例を手掛かりに―― [于 臣]
第三章 大韓帝国期における「企画された」日本実業視察と日韓企業家の交渉 [金 明洙]
第二部
第一章 尼野源二郎の事業とその理想――十津川および泊園書院出身者の挑戦―― [横山 俊一郎]
第二章 近代中国銀行家の企業家精神――上海商業貯蓄銀行の陳光甫を中心に―― [戴 秋娟]
第三章 朝鮮華商の和聚公と楊翼之の経営活動 [李 正熙]
第三部
第一章 一九一〇~三〇年頃の日本とイギリスの綿業における起業家精神と経営管理 [ジャネット・ハンター]
第二章 より良い社会のためのより大きなビジネス――渋沢栄一、アンドリュー・カーネギー、ジョン・D・ロックフェラーの起業家としてのビジョン―― [ジョン・セイガーズ]

編著者紹介
金 明洙(キムミョンス):啓明大学校副教授、経済学博士(慶應義塾大学)。著書に「大韓帝国期の『お雇い外国人』に関する研究―平式院の日本人技術者井上宜文の事例」(李盛煥・木村健二・宮本正明編著『近代朝鮮の境界を越えた人びと』日本経済評論社、2019 年)他。
于 臣(ウ シン):横浜国立大学准教授、教育学博士(東京大学)。著書に『渋沢栄一と〈義利〉思想―近代東アジアの実業と教育』(ぺりかん社、2008 年)他。